《MUMEI》
"重さ"の違い
それはもしも、もしも医十印に向けて言ったのならば、あるいは言葉ですんだかもしれない。

快楽やミスアなら、その猫を助けようとしていただけですんだだろう。



だけど───季紫は、緑妖季紫は違った。
子供の頃、親を奪われたと錯覚して、何よりも"奪われる事"に異常なまでの思いを当てる、そんな季紫だからこそ、

医十印のように言葉だけで済ませようとはせず。
快楽やミスアのように傷を治すだけで許そうという考え方が出来なかった。

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