《MUMEI》
先生のアパート
杳子は、神野先生のアパートへ来ていた。
『大家のおばさん!』


『まあ、珍しい〜結婚式の前に、あんな事が起こっちゃって、あたしゃ楽しみにしてたんだけど…』


『先生が…おばさんにご迷惑だろうから、先生の荷物を、運び出して置いてくれ…って』


『何言ってんだい!水くさい!アパートの住人は、我が子も同然!先生は無実に決まってるよ!』
大家のおばさんは、そう言って胸をドン!と叩いた。


『先生は、きっと帰って来るよ、部屋はあのままで良い。それで、変な事を言う奴がいたら、あたしに任せな!』


『ありがとう、おばさん!』


『良いから、良いから…それより暑かったろう?先生の部屋で休んでおいで。はい、鍵。』


部屋に入った杳子は…机の上に、写真立てを見付けた。


そこには〜笑顔の神野先生と自分が写っていた。


『ふふ…先生ったら…先生ったら…』


写真立てを抱き締め…『う……うう……』
声を殺して…暫く泣いていた。

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