《MUMEI》

晩餐が終わり、僕は幸せな気分に浸りながら、アンリ様に頂いたマフラーを見つめていました。

「気に入ってくれたんだね、それ──」

「はい」

何より、貴女様に頂いた物ですから──。

「編み物も御得意なんですね、アンリ様」

「ううん、編み物は苦手なの」

苦笑を浮かべて仰ったアンリ様。

僕は驚きました。

こんなに御上手に編まれているのですから。

それも、1日で。

「───────」

「楽しかったよ、編むの」

向けられたのは、満足そうな笑顔。

それを見て、僕は安心しました。

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