《MUMEI》
執事
再び、朝が訪れました。

僕はいつものように、扉を2度、ノックします。

あの御方を、起こして差し上げる為に。

「御早うございます、アンリ様」

「おはよう──」

まだ眠たそうな御返事が聞こえたかと思うと、扉が開いてアンリ様が出てこられました。

「ごめん、すぐに着替えて行くね」

「御ゆっくりで構いませんよ」

僕が言うと、アンリ様は頷いて再び御部屋の中へ。

「──お待たせ」

暫くして御出ましになられたアンリ様は、淡いカフェオレ色のドレスを纏って居られました。

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