《MUMEI》

「リュート、あのね‥」

「はい、如何なされました?」

「このリボンなんだけど──」

「畏まりました」

コーヒーのような色合いのリボンを、金色の三つ編みに結びました。

「ありがとう」

「御似合いですよ、とても」

微笑み掛けた僕に、アンリ様は頬を染めて笑顔を御返し下さいました。

「広間へ参りましょう。朝食の支度が出来て居ります」

「うん。──ぁ、そうだ」

「?」

「朝食が終わったら──薔薇園に行かない?」

「はい、そうしましょう」

2人で薔薇園へ行くのは久し振りです──。

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