《MUMEI》

兼松は〆華と床に入る前に風呂で酔いを冷まそうと、せっかちに準備を始めている。



『但し……条件がございます。』



〆華はそんな男の浅儚な歓喜を遮った。



『条件?…なんだ?…』



兼松は玩具を取り上げられた子供のように機嫌を傾かせた口調で問うた。



『お代は1本(百萬)で結構でございます…。


その代わりに…』



『代わりに何だ?』



『私と一つ勝負をなさって下さいませ…』



『勝負?』



『はい…兼松様はお代の1本をお賭けになり、私はこの身体をお賭け致します…。


勿論、勝負事ですので私が勝てば掛け金はこちらが頂きます。』

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