《MUMEI》
「九郎!?まじで!?」
「なっ…!ち、ちか、なんで知っ…!」
秋奈はしまったといった顔で口を塞いだ。
「え?だって、そんな感じがしたから」
「ヒィ〜〜!!クククっ!!!」
笑いが止まらない。
「くっそ〜凪〜〜!!」
おもっきし首をしめてくる秋奈。顔がまっかっか!
「ごっ、ごめんごめん!ギブギブ!!」
「は〜。にしても、チカが気づいてたとはね〜」
「凪ちゃんも知ってたでしょ?」
「!」
「そりゃね」
「!」
「秋奈、あんた、バレバレよ?」
「まじかよ…」
うなだれ、顔を隠す秋奈。可愛いな〜。
「で、どうして急に告る気になったの」
「ん…まあ、その話はおいおい、さっ」
ぴんぽーん
「あ、はーい」
「誰?」
「九郎くんたちだと思うよ」
(たち…?)
「…カツヤも?」
「そりゃいるでしょ」
(最悪)
「帰るわ」
「はあ?なんでよ?」
「あー、家の仕事とかさ、そろそろ本格的に習わないといけないし。そう遊んでらんないしさ。じゃね」
「ちょ、ちょっと、凪っ!」
最悪最悪最悪最悪。なんでカツヤも来るんだよ。あーもうまた苛々してきた。
階段を降りると、玄関に九郎とカツヤがいた。
「あ、なぎ〜」
「チカ、ジュースごちそうさま」
「え?凪ちゃん帰るの??」
「うん。九郎、ごゆっくり」
「うそ。ちょっと凪沙さん!俺ら今来たばっかなのに…!」
九郎とチカが呼ぶ声にごめんって言いながら、私は家路を急いだ。
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