《MUMEI》

「ゎぁ──まだ咲いてるね、沢山」

「綺麗ですね」

「うん」

薔薇に近付き、屈み込まれたアンリ様。

「今日は暖かいよね、いつもより」

「そうですね──、陽が出ていますし」

「──ねぇ、リュートは何色の薔薇が好き?」

「?」

「私は赤とかピンクが好き」

「───────」

少し考えてから、僕は口を開きました。

「白──ですかね」

「白かぁ、リュートに似合うよ」

「そう──ですか?」

白は、僕の反対の色。

だから、好きなのかも知れませんね──。

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