《MUMEI》

赤高の攻撃は、


先ほど同様、


日高がポストに入るダブルポスト。


しかし、


椎名のシュートと2人のポストを警戒する猪狩チームのディフェンスに対し、


成すすべなく、


「バシッ!!」


投げやりに打ったシュートを恭介に止められる。


「速攻!!」


走っていたのは、


前線で守っていた阿久津。


しかし、


阿久津にマークされていた峰田がすぐに追い付く。


2人が6メートルラインまで走るが、


パスは出ない。


峰田は右利きの阿久津に対し、


シュートが打ちづらいよう左側に付く。


(1対1か…)


ボールを持った翔太の目に、


阿久津が見えた。









『絶対決めるんでボールください!!』








峰田にマークされている阿久津の目はそんな雰囲気だった。


その目を信じ、


パスを出す翔太。


(よし!!
この位置ならシュートは打てない!!)


阿久津に付いていた峰田はそう確信していた。


(頼むぞ!!)


阿久津にパスが回る。


阿久津は振り返らず、


ゴールも見ないままシュートを打った。


(なっ…!!)


(マジかよ…)








「ナイッシュー!!」








阿久津のシュートが決まる。


11対6。

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