《MUMEI》
なぜ!?
「おいっ!待てよ!!」
振り返ってギョッとした!
(なっ、なんで……!)
カツヤが血相かえて追いかけてきた。
(ありえねー!!)
あたしは猛ダッシュした。
カツヤもそれに気づいたのか、走り始め、ぐんぐん追いかけてきた。
(こえ〜〜〜!!)
こんな追いかけっこしたことねーよ〜!!
と考えてる間に腕が思いっきり後ろに引っ張られた。
「逃げてんじゃねーよ!っはぁ、はぁ」
「はっ…なせよっ…!」
腕を振り払おうとしても、男の腕力に勝てるはずもなく。
あっけなく捕まってしまった。
「何で逃げんの」
「はぁ、はぁ…」
「来たばっかなんだろ」
「っ…んたが……」
「え?」
「っ…あんたが来たからに決まってんだろ!!」
苛々する。
「なんなんだよ一体っ…追いかけてくんじゃねーよ!!つか腕離せ!!触んな!!!!」
「…」
「……っ……」
「は?」
「俺、なんかしたか?」
(何言ってんだ、こいつ)
「…んなに、そんなに、俺のこと嫌いなのか」
つかまれた腕が、熱い。
「……」
そーっと顔を見てみて、驚いた。
(なっ……!!め、めちゃめちゃ沈んでる!!)
背が高いから、余計項垂れてるように見える。
てか頭が落っこちそう!
あたしは、動揺してしまい、つい、思ってもないことを言ってしまった。
「きっ、嫌いじゃないよっ」
俯いていた顔が、後ろに飛ぶくらいの勢いで上がった。
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