《MUMEI》

名前を呼ばれた事に気付き、顔を上げると、

「はい、白い薔薇」

アンリ様はいつの間にか、綺麗な花束にした白い薔薇を僕に差し出して居られました。

「下さるのですか?」

「うん」

「ありがとうございます──。‥?」

アンリ様はもう1輪の薔薇を、そっと僕の上着の胸ポケットに刺して下さいました。

「ふふっ、やっぱり似合うよ。黒に良く映えてる」

「───────」

その御言葉に、頬が熱くなるのを感じながら、僕は混じり気の無い眩しい白を見つめていました。

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