《MUMEI》

「──どうぞ」

「ありがとう」

淹れたての紅茶に、そっと息を吹きかける。

お砂糖を入れたローズティー。

私が、一番好きな飲み物。

「───────」

これを飲むと、凄く落ち着く。

だから好き。

好き、といえば、私には大好きな人がいる。

すぐ隣りに。

「マドレーヌをもう1つ如何ですか?」

「うん」

彼がそう。

名前は、リュート。

私の、大好きな執事。

いつも私の事を心配してくれてる。

私が心配になる位に。

「午後は──如何なされますか」

「お庭に行かない?」

私の提案に、リュートはニッコリして頷いてくれた。

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