《MUMEI》

でもその彼が……今目の前にいる!!


夢かと思った。


風の噂で、彼がこの学校にいると聞いてはいた。


まさか、本当にいるなんて……。


校門の近くで見掛けた時、
雷に打たれたみたいだった。


一目で分かった。


颯馬………。


もう会えない。


遠い存在。


そう思っていたのに。


本当に、夢ではないだろうか。


頬を抓ってみる。


痛い……。


やっぱり…現実だ。


さあ、どうしよう!!


勢いで彼の前に来たものの、
緊張しきってどう話せば良いか分からない。


心臓が口から飛び出してしまうのではないかと思う程、
ドキドキしている。


だって今目の前にいる颯馬は……。


凄く格好いいんだもん!!


以前よりも断然男前になっている。


ファン倶楽部が出来る理由も頷ける。


……って!!


何考えてるのよ私!!


何か、何か話さなきゃ!!


えーと……。







全く思い浮かばない。

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