《MUMEI》 「ぇ‥?」 私は、リュートの言った言葉の意味が飲み込めなくて訊き返した。 そしたらリュートは、微笑を浮かべて、 「アンリ様が認めて下さっていなければ、今──僕は此処に居ませんから」 そう言った。 私は、リュートと契約を交わしたの日の事を思い出した。 何でも命令を聞いてもらえる、その代わりに、血を分けてあげる事──。 時々思う。 その時から、もしかすると──それよりずっと前から、私達の運命は決まっていたのかもしれない、って。 彼が吸血鬼だと知った時、最初は冗談だと思ってた。 でも、彼は本当に吸血鬼だった。 半分、人間の吸血鬼──。 前へ |次へ |
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