《MUMEI》 リュートは、いつも夜中に私の血を吸いに来る。 それは、私が恐がらないようにする為。 私が眠っている時に、彼はゆっくりと牙を立てる。 そして、必ず傷を治してくれる。 だから、ほとんど恐さや違和感はなかった。 彼が、気遣ってくれるから。 だから、安心して血を分けてあげられる。 「──アンリ様、薔薇を御覧になりますか」 「うん、まだ咲いてるかな──」 2人で手を繋いで、いつもの場所に向かう。 ふと目が合った時のリュートの笑顔は、本当に暖かかった。 前へ |次へ |
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