《MUMEI》
衝撃
「…」

「秋奈ちゃ〜ん、怒んないでよ〜ねっ?」

「…」

「悪かった!ごめん!!このとーりっ!!」

「秋奈〜、新しくできたあのフレンチ行きたいな〜」
出た〜……

「……お姫様、わたくしが奢ってさしあげま」

「まあ、当たり前だわな」
くっ……

出かけたこぶしを引っ込めた。

まあ、しゃーないか。

そういえば、秋奈と出かけるの久しぶりだな〜。
ちなみに、チカは家族でお出かけ。


「何買うか決めてんの?」
「うん。この前友達と来たときに目つけたのがあるんだ〜♪」

すっげー楽しそう…

秋奈は、見た目ギャルだけど、化粧が上手いから映える。元々顔綺麗だし、背高いし。がさつだけど。

本当はギャルじゃないんだけどね。まあ、いろいろあってね。

ちなみにちなみに、あたしは化粧とかできないやつ。たまに秋奈がやってくれる程度。自分ではほとんどしない。

「これ、凪に合いそうっ」
そう言って、秋奈はあたしにいろいろ試す。

そーゆうとき、女の子だなあって思う。
恋、してるからかな?(笑)


「そろそろお昼食べようか」

「どこなの?その新しくできたフレンチってのは」

「うん、えっと、たしかこっちのほうに…あ、あったあった!凪、あそこっ…………」

「どこどこ〜………え…」


お互い、見ているものは違っていたけど、
2人とも、自分たちが今見てるものに、何も言えなかった。




秋奈の見る先には、九郎が。


そして、あたしが見た先には、カツヤが。







どっちも。
女の子と歩いていた。

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