《MUMEI》
日本語の不思議
「え〜と、どういう意味?」


三人が普通の友達というポジションを嫌がり、別のポジションを選んだのは何となくわかった。


しかし、俺の脳内には『しんゆう』は『親友』としか変換されなかった。


「だからね」


普通、日本語が一番苦手そうな頼が得意気に説明を始めた。


「志貴って、祐也の事、スッゴクいつも心配してるでしょ?まるで母親みたいに」


(確かに…)


特に恋愛感情が無くなってからは、志貴は俺の保護者のように振る舞っていた。


(本人、無意識みたいだけど)


「私としては、親しい友達のつもりで、『親友』だからね」


志貴は不機嫌そうに付け加えた。


「んで、俺が、心の友と書いて、『心友』。俺にとって、祐也は心から信頼できる友達だから。まぁ、友達以上でもいいけどさ」

「…遠慮しとく」

「まぁまぁ…」


ゴン!


懲りずに抱きつく頼の頭を、志貴が叩いた。


(…お母さんみたい)


口には絶対出さないが、そう思った。


「で…」

「お、俺! 俺は、祐也を本当に、友達だと思ってるから! だから、それは何よりもかえがたい俺の真実だから! だから、『真友』!わかった? 祐也!?」

ゴン!

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