《MUMEI》
練習上の問題
…本日二回目の志貴の拳が今度は柊の頭に落ちた。


「休憩時間終わるから、邪魔にならない場所に行きましょ?」

「…うん」


(うわ、…デレデレ)


希先輩に頭を撫でられた柊はかなり嬉しそうだった。

(あ、そうだ)


「希先輩、何で頼がまとめるってわかったんですか?」


俺は確認の為に希先輩に話しかけた。


「いっつも口喧嘩、一番強いし。
徹さん…頼君のお父さんも、そうだったし。


…って、母さんが言ってたから」


そして、希先輩は


『こういう時、下手に加わると余計大変だって忠告されたから』


と、本当に小声で付け加えた。


(さすが…志穂さん)


俺は、それだけ思って、普通に納得した。


それから


俺達の稽古は


出演者と演出者達のやりとりは、順調に進んだ。


音響も、衣装も各自頑張っている。


問題は…


「だ〜か〜ら! 何で暖炉を置く必要があるの!」

「は? 金持ちの屋敷の必需品だろうが?
その位わかるだろう? だから配置ちょっと変えろよ」

「面倒くさい!」

「作る俺達よりマシだろ?」


(またやってるよ…)


俺や他の部員達は苦笑するしかなかった。

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