《MUMEI》

−−今宵は満月。


妖しげな赤い月が、森を照らしている。


黒い耳と尻尾。
尖った犬歯。


“彼”は、長い間この暗い森で暮らしてきた。


−−遠い昔。
人間によって全滅したとされていた狼男。


“彼”は人間たちの歴史を覆す、狼男の生き残りだった…。


の夜は、咲にとって狼の本能と共に、性欲が最も強くなる日だった…。


なぜか今日は、今までよりも一段と体が疼く。


それもその筈だった。


咲は、“人間”を愛していた。
…狼の餌食となりうる人間を。


その人間、晶羅(アキラ)と一緒に森で暮らしはじめて約一ヶ月。


−−好きな相手を前に、咲の自制心も限界が近づいていた。


「咲、目が…」


晶羅は、ふと咲の異変に気がつく。


普段は緑色をしている咲の瞳が、真っ赤に変色していた。


これは、興奮しているときに起こる現象だった。



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