《MUMEI》

            :
            :



『三光までありです。雨流れは無しで、手四、くっつき、場四もございません。』



〆華は淡々と勝負のルールを申し合わせた。



訛りというほどでは無いが、どこか京風のイントネーションを含んだその口調は、妙に兼松の下心を擽った。



ニタニタと薄ら笑いを浮かべる五十路男――…



その胸中には、目の前の芸妓を嘲笑う、心の声があった。



(〆華が勝負というから思わず身構えたが…


…何のことは無い…。


…只の花札「こいこい」だ。)



兼松は芸妓の説明を話半分に聞きながら、この後の情事に想いを馳ていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫