《MUMEI》

[蒼視点]


『先生は、人を真っ直ぐ見つめ過ぎですよ』


そう、山田に注意された事を、俺は不意に思い出していた。


何故、そんな事を思ったかといえば…


コイツ…


櫻が、真っ直ぐに俺を見つめているからだ。


…あぁ、悔しいが


本当に、悔しいが


あの時は、何ふざけた事言ってんだと思ったが


確かに、よくない


真っ直ぐに俺を見つめる櫻


つーか、…見過ぎ


何か、…落ち着かねー


けど、目をそらしたら


負ける、気がした


そうして


櫻は、いきなり核心をついてきた


「蒼様のお話は、…旦那様が読んでくださった教科書や、治人様が読んでくださった物語のような気がします」


…おいおい


「だから?」


今、俺声大丈夫だよな?


裏返ったりしたら…


マジカッコ悪ィ


「…え、と。私、昭人様の話が一番好きだったんです」


「…へ?」


また、話が飛んだな


そういや、コイツの親父もそうだったな〜


呑気に構えた瞬間

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫