《MUMEI》
夜道
「1人で大丈夫か?」
「へーきへーき!凪っ」
「ん?」
「今日、買い物付き合ってくれてありがとう!また明日!」
「おう。また明日」
「じゃねっ!」
たくさんの買い物袋をぶら下げながら、秋奈は走ってった。
「凪ー!!!」
突然、大声で呼ぶ声。
「なにー!?」
「あたしー!!もう大丈夫だからぁーー!!!」
ぶんぶんと大きく手を振って、秋奈は帰って行った。
「…うそつき」
目、真っ赤だったくせに。手、震えてたくせに。
意地張っちゃってさ。
「しゃーないっ、近々、失恋パーティーでもするかっ」
そんなことを考えながら歩いてたら、後ろからグイッと肩をつかまれた。
「何してんだよ!こんな遅くに!!」
聞いたことある声。
聞きたかった声が、聞こえた。
振りかえると、微かな電灯の光で、顔が見えた。
「カツヤ…」
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