《MUMEI》

「はぁ、はあ、」

こめかみに、うっすら汗をかいているカツヤ。

「は、走ったの?運動?」
「っ…はあ?ったく…、凪が、遠くから見えたから、追いかけてきたんだよ!まったく…こんな夜道に…あぶねーだろ〜…」


涙が出そうになった。
必死に止めた。


「で、何でこんな時間にうろうろしてんの?」

「…」

「夜出るなら俺呼べって言ったじゃん」

「……」

「…凪…?」

「あ…」

「あ?」

「秋奈と、買い物行ってた…」

「そうだったんだ。でもよー、こんな遅くまで?」

「公園で、話してた…」

「うわ。女2人で?もう、頼むから、危機感持って………え……な、凪……?」


ツー……



涙が、流れてしまった。


「え、え、お、俺、え、あっ、えっと…ご、ごめん!言い方きつかった!!悪い!!」


頭を下げて必死に謝るカツヤ。


言いたくない
言うな!


聞きたくない!
聞くな!




「……カツヤ…」


頭を上げるカツヤ。




「今日、一緒にいた子、誰?」






カツヤは、何も言わなかった。

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