《MUMEI》
それから
学校で、気まずい毎日。
カツヤが話しかけてこようとしてくると、察知してすぐ逃げてしまう。
極力、顔を合わせたくなかった。
だってさ。
彼女でもなんでもないのに、あんなこと聞いて…馬鹿みたいじゃないか。
情けなくて、話せないよ…
秋奈も、九郎を避けていた。いつもなら、ギャーギャー言い合うのに、それをしようとしない秋奈。九郎に「つまんねーやつ」って言われても、何も言わなかった。
「そっかぁ…そうだったんだ…」
あたしたちは、チカに何があったかを話した。
「カツヤ、何も言わなかったんかぁ…」
秋奈は、自分のことよりも、あたしの心配をしてくれた。そんな余裕、どこにあるんだよ……
「秋奈ちゃん、本当に告白、やめちゃうの??」
まだ目が若干赤い秋奈を心配して、チカが言った。
「うん、もういいやっ。どーせ、あのときから無理だって決まってたんだしね」
「……」
「凪ちゃんは…??」
「ん?あたしはっ…はは…」
無理矢理、苦笑いをする自分に、泣きそうになる。
「はぁーあっ!いい男いないかな〜」
「ほんとにね〜」
「いるよ絶対。2人とも、素敵な人に会えるよ、絶対!」
涙目でチカが言う。
「ぷっ、チカが泣いてどーすんのよっ」
「ばかだな〜」
「だっ、だって〜」
3人で笑い合って、次の授業は昼寝でさぼっちゃった。
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