《MUMEI》
一夜の花嫁
齋は…悲の身体を抱き締めた…


『悲…そなたを…今宵、我が妻とする…よいな?』


『…はい。』


『愛しておるぞ!悲、誰よりも…』


悲の頬に流れる涙を、指で拭い…そっと頬に手を添える…


齋は、優しく髪を撫でながら…悲にキスをした。


触れるだけのキスは〜少しずつ、激しく、互いの舌を絡めていき…悲の口から、甘い吐息が洩れる…


『ん…はっ…っ』
二人は〜その場に立って居られず…座り込み…


齋は…悲を優しく寝かせた…少しずつ、悲の衣服を脱がし…身体中に、唇を這わせた…


『齋…』


『悲…』


虚無の空白の中で…二人の息遣いのみが…響いていた…。


二人の愛し合う音は、優しい音楽のように…虚無の世界に溶けていった…

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