《MUMEI》

幼い頃の蓮翔と重ねて見ると、
綺麗な二重の瞳や、
形のよい唇などが面影を残している。


だけど……。


女の子かと見間違った程、
可愛らしい顔をしていた蓮翔が……。


本当に蓮…翔……?


「何俺の顔に見とれてんの?」


蓮翔がニヤリと笑いながら話し掛けてきた。


「だ、だって本当に蓮翔か分かんないじゃん!!」


「そう?

颯ちゃんは直ぐに気付いたんだけどなぁ。」


「まだそんなあだ名で読んでるの?」


「うん。

俺と颯ちゃんと賢ちゃんだけの共通語だからな!!」


そう言って蓮翔は、
嬉しそうに頭の後ろで腕を組むと、
ケラケラと笑った。


「共通語……ねぇ。」


蓮翔が昔から頭悪いのは変わらないのか。


「ん?

何か言ったか?」


「ううん!

何も言ってない!!」


慌てて首を振った。


「しっかしなつ……。」


「え?」


いきなり名前を呼ばれて胸が高鳴った。


「お前、ほんっと何にも変わってねぇな!!」

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