《MUMEI》

(5百萬以上でも出すつもりだったのに、百萬でいいとはな…


よほど腕に自信があるのだろう…。


まあいい…。たとえ負けたとしても、何度でも相手をしてやる。


その代わり、一度でも儂が勝てば…)



兼松は、匂い立つまでの色香を隠している詰袖をじろりと眼差しで舐め上げる。



そして、その装束を無理矢理にひん剥く妄想を思い描くと、卑しい含み笑いを浮かべた。



しかし数刻後には、その相手を舐め切った態度が、子犬のように震え上がる事になろうとは…



この時の兼松は思いもしなかった。



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