《MUMEI》

「颯ちゃん?」


「う、うん!

颯馬は知ってるの?」


「どーしよっかなぁ!」


「勿体振らないで早く教えてよ!!」


「んーしょうがないなぁ。

有り難く思えよ!!」


「わ、分かった!!」


なんだか少しムカつくけど……。


「颯ちゃんはな、なつの気持ちのこと……。」


「うん……。」


早く教えて!!


心臓がおかしくなりそう!!


「知ってる……」


「え?」


「訳ねぇだろ!!」


そう言って蓮翔はケラケラと笑った。


はぁ、ビックリしたぁ!


……て!!


「いい加減からかうの止めてよね!!」


「だっておもしれぇんだもん。」


もう!!


それにしても良かったぁ。


安堵のため息をついた。


「そんでさ、俺が言いたいのはそう言うことじゃ無くて……。」


「え?」


「あ、やっぱいいや。

そんじゃな!!」


はぐらかされた。


何を言いたかったんだろう?


廊下を走り去って行く蓮翔をただ呆然と見ていた。

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