《MUMEI》

山城弁護士の、働きで
美澄貴の親族との間で、
示談がもたらされた

一時退院した、光、と、俺も、同席した

治療費、迷惑料、慰謝料

美澄貴の兄、マサル、の
行方がわかり次第、
警察に知らせる

何故、簡単に話が付いたんだろう…

警察沙汰になったので
マサル、を囲うと
犯罪者を匿った事になる

遺産相続の裁判にも、不利な要素になるらしい

まぁ、裁判官の心証は
良くないだろうね

言い換えれば、トカゲの尻尾切り…

兄、マサル、だって、肉親だろうに…

一番大きいのは、
水無月 光 が、みずきの後ろ楯だって事かな

金持ちは、金持ちに弱いんだな…

けど、義理母の、みずきを見る目は、
まるで汚らわしい物を見るような目だった

一応の決着はついた形になった
 
 
光の退院の日に

俺達はレンタカーを借りて温泉に行く事にした

怪我の治療と、みずき、の安全を考慮して

雅人「光、大丈夫か?」

光「うん、痛みはほとんどないから」

みずき「大丈夫?」

光「平気だよ」

雅人「じゃあ、行くよ」
 
高速を乗り継ぎ
温泉街に

光「たしか、この先を右だったかな」

雅人「了解」

みずき「雅人、運転上手いね」

雅人「バイトでトラック乗ってるからね」

光「あっ、そこの看板の所入って」

……スゲー…

俺が知る、温泉とは…
違うなぁ

車をパーキングに停め

受付へ

光「水無月ですが」 

「水無月様、お待ちしておりました」
「ご案内致します」

俺達のカバン、全部運んでくれた

通されたのは、本館の奥にある 離れだった

雅人「……」

「お食事は、お部屋でよろしいですか?」

光「ええ、お願いします」
雅人「……」

みずき「いい所ね」

光「うん、ここなら、のんびり出来るよね」

雅人「……」

みずき「足、痛くない?」
光「大丈夫、もう、くっついたんじゃない」

みずき「無理しないでね」
光「うん」

雅人「……」

光「雅人、どうしたの?」
雅人「えっ…あぁ…」
「すごすぎて……」

部屋が3っも有って
庭に、露天風呂

内風呂も、もちろん

この建物、全てが、
俺達の……

光「もっと、立派な作りの離れもあるよ」

雅人「いえ、十分です」

みずき「ゆっくり、温泉入れるね、」
「怪我の治療には、バッチリね」

光「うん、人目を気にしなくていいからね」

…別世界だ…24時間、貸切家族風呂…
うーん、何て、表現が庶民なんだろう…俺って…

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