《MUMEI》 「ねぇ? あの人クロさんの彼女なのかな?」 「嘘!? クロさん彼女いたの!?」 「だって… 彼女じゃなきゃあんなこと言わないでしょ…」 (あ〜もう… 凄い恥ずかしい… 帰ろうかな…) 小さくなる美紀に、 近づく姿があった。 「あの〜?」 「…はい?」 振り向く美紀。 (あ… この子私服の…) 「クロさん? って人の彼女さんなんですか?」 「ち… 違います!!」 「あ、 そうなんですか。 てっきりそうかと…」 「あの…?」 「はい?」 「私服来てるから気になってたんですけど… あなたは?」 「あ、 私ですか? 今試合に出てる… あ、 今ボール持ってる人いますよね?」 (翔太くんだ…) 「あの人と付き合ってて、 それで…」 「え!? 翔太くんの彼女なの!?」 「あ、 翔太のこと知ってるんですか?」 「うん。 あたし赤高のマネージャーだったから。」 「そうなんですか〜。」 「あれ…」 「?」 「でも何で小太郎のこと知ってるの?」 「…小太郎? あっ!! クロさんのことですか? それは… 翔太がいつも話してるから。」 「へぇ〜…。」 「あの…?」 「なぁに?」 「一緒に試合見てもいいですか? 私服なのあたしたちだけだから… なんか恥ずかしくって…」 「あは!! い〜よ!! あたしもちょっと恥ずかしかったんだ!!」 「よかった!! ありがとうございます!! あっ!! あたし、 杉内理紗って言います。」 「あたしは藤田美紀!! よろしくね!!」 「よろしくお願いします。」 優しく微笑む理紗を見て、 美紀はこう思っていた。 (翔太くんもやるわね…) 前へ |次へ |
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