《MUMEI》
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『あたしさ、あんとき、初めて、九郎に女扱いされたんだ』
『恥ずかしいけどさ、めちゃめちゃ…嬉しかったんだ』
『だからさ、もしダメでもさ、自分の気持ち、伝えたいなあって、思ったんだ』
『あたし、また、昔みたいに、九郎に、「秋奈」って、呼んでほしい』
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「………」
「九郎さ、中学んときさ、秋奈のこと、クラスの男子と話してたことあるでしょ」
「へ…?」
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放課後。
クラスの男子たちの声が聞こえた。
『秋奈ってさぁ、化粧しなくても絶対綺麗だよなあ』
『!』
『たしかに!結構モデル顔だしなぁ』
『…///』
『おまえらなあ、』
『!』
好きな男の声。
『あんなギャルのどこが綺麗なんだよ!あんなん汚ギャルだっつーの!!化粧とったとこなんか見れるかよ!!なぎはスッピンで十分綺麗だけどなー』
『っ……』
その場から走って逃げた。
夜、声を押し殺して泣いた。
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