《MUMEI》

「真っ青!ちょ、大丈夫?!」

水瀬にも分かるくらいにげっそりしていたんだ。


「んー……み、みず……」

空いていた椅子に深々と掛ける。


「私買いに行ってくるから安西君それ見ててね?」

水瀬、今日は安西の為に可愛くしてたのに……ごめんな……動かしちゃって。


「……もっと早く出れば良かったですね、ごめんなさい……。」


「や、 俺が悪い。 安西の手、ちょうどい……」

俺の体温より高いから、抱き枕のように脇に挟めて温まる。


「本当申し訳ないです……」


「ちがうて……な?」

安西の目に掛かりそうな前髪辺りを掻き上げてやる。
思いの外、固めだ。
誰と比較してる訳ではないけれど。

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