《MUMEI》
「あっ、あれはっ…」
「わかってるよ。男子たちに、秋奈とられたくなかったんだろ?」
「!」
「でも、何も知らない秋奈は本当に傷ついたんだ。あの日から、毎日かかさず化粧して、勉強もして、金貯めて高いの買って、おまけに…」
「…?」
「あたしにも、化粧すすめてきた」
「っ…!」
「いやだったんだろうね。スッピンでいるあたしに負けるのが。……秋奈のほうが、何倍も綺麗だっつーの……」
「……」
「九郎に名前じゃなくて汚ギャルって呼ばれるようになって、めちゃめちゃ落ち込むだろうなって思ってたら、「かわいいあだ名だ」って笑って…本当に……」
「……」
「謝れよ。もうこれ以上秋奈泣かすなっ。いいかげん、自分の気持ち伝えろ!秋奈また泣かしたら、九郎でも許さないよ!!!」
「…はい」
「よろしい」
「はぁーあー。あの馬鹿っ…ネガティブなのかポジティブなのかわかんねー」
「それが秋奈だからね」
「なぎは何でも知ってんのな」
「あたりまえ〜」
「でも、あいつのことはわかんねーだろ?」
ギク。
「図星〜」
いつもの九郎に戻った。
「うっ、うるさいよっ」
「お見合い、本当にすんのか?」
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