《MUMEI》

『チッ…。』



忌々しい存在が釈に触るのか、見苦しく舌を打つ兼松がいた…。



『このまま終れるか………もう一勝負だ…。』



兼松はすっかり軽くなったセカンドバックを傍らに放り投げた。



すでに最初に〆華の躰に付けた値段…5百萬以上は悠に負け越している。



3回くらい勝負をすれば1度は勝てるだろうと目論んでいた兼松の予想は見事に裏切られた。



もはや兼松は是が否でも勝たなければ、引っ込みがつかない状況に引きずり込まれていた。



博打の引き際を見誤った愚者の典型だ…。



こういうタイプの男は勝つまで絶対に諦めない。



タチの悪い客だ…。

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