《MUMEI》
躊躇
放課後………


いつものように練習へ向かうと、
もう皆集まっていた。


さすがに凄いな……。


明日は試合だからであろうか。


皆の目は、
何時にも増して真剣そのものだった。


「颯馬!遅いぞ!!」


木村が俺の姿を見つけると、
駆け寄ってきた。


手に何か持っている。


「はい、コレ。」


渡されたのは、
タイムテーブル(試合表)。


俺は何も言わずに受け取ると、
近くの壁に寄り掛かった。


「礼ぐらい言えよ〜。」


木村が肘で俺をつついて来るが、
それにも無視してタイムテーブルに目を通した。


「なんか最近態度冷たくね?」


すると木村は急に声色を変えて尋ねて来た。


とても悲しそうな顔をしている。


だけど……。


俺は無視した。


だって必要ないだろ?


人間じゃ無い奴が感情を持った所でどうなる?


俺の心は完全に……。


凍り付いていた。

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