《MUMEI》
「な…に……それ…」
「…ガードル」
「ガードル?」
惇から受け取りマジマジとみる。
ガードルって…
ボディスーツかなんかかと思ったら…
たしかにパンツの形をしている。
しかし。
デカイ…
「これ惇の?」
「んな訳あっか!裕斗が持ってきたんだ!こんなの俺が買うか!」
「………」
「………」
惇はぶつぶつ言いながら脱ぎ散らかしてある服を着だす。
▽
「これを着るなんて発想裕斗以外考えつかないかもな」
ホールのケーキを豪快に二分割してでかいフォークで二人頬張る。
惇はケーキにあたるかの如くこれでもかと口をでかくあけて詰め込みながら
「普通縛ってまで写メ撮るふぁ〜?、今度会った時ぜってー消去はひてやる!ふかなんかやり返はねーと気がふまねえ!」
「…はは…」
まさか9Lのガードルがこの世に存在して、まさかそれを惇が着ていただなんてさっきは想像もつかなかった。
つか、正直…
また見たい…。
「で裕斗、マジで着たまま行ったんだ?」
「…ンゴクッ、伊藤さんに見せるんだって、つか伊藤さんだってきっと引くぜ?困るぜ?下手したら愛想つかされるぜ?
全くあいつはやり過ぎなんだよ」
「……はは、…そうだな…」
…改めてもう一度見たいだなんて、口が裂けても言ってはいけなさそうだ…。
あんなんで迫られてみたい気もするなんてもっと言えない。
自分も着てみたいだなんて……
もっともっと言えない……。
「隆志どうした?食欲ないなら一口譲って?」
惇はあっという間にぺろりと平らげて俺の半分程残った皿を凝視している。
−−−着てくれたら、残り全部あげるだなんて言ったら……
「…やるよ、全部、そんなに腹減ってねーし」
「マジ?やったッ!」
嬉しそうにかぶりつく惇を置いて俺はトイレに入り、こっそりと裕斗にメールを送信した。
だって…
写メ…
見たいじゃないか…。
あのガードルは…
こっそり持ち帰ろう……。
END
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