《MUMEI》
戦闘準備万全…じゃねぇ!
「沢村君ってなんかクラブ入ってんの?」
4時間目終了のチャイムが鳴るなり竜崎が聞いてきた。
「帰宅部。」
俺は素っ気なく答えた。もう頭の中は今朝の事で一杯になっていた。何か良い断り方がないだろうか…

「予定ないんだったらさ、この辺り案内して欲しいんだけど。」
「……」
「ねぇ聞いてる?」
「…はぁ。」

あぁもう全然良い案浮かばねぇ…

「さ・わ・む・ら君!」
「んだよ!うっせぇな!」「だからさぁ、部活ないんだったらこの辺案内してよ?」
「今それどころじゃ…」
「そうだぜ竜崎。」
寺田が割って入ってきた。
またややこしい奴が入ってきたよ…

「コイツ今から女と約束あるから、なぁ沢っちゃん?」
「いちいち入ってくんなよ。お前、部活遅れるぞ!」寺田はバスケ部に入っていた。理由は単純明快で、ただモテたかったかららしい。
「判ってるって。じゃな!がんばれよ。」
嫌な笑みを浮かべて寺田は部活に向かった。

「そっかぁ、デートなら仕方ないよね〜。また今度案内してもらお。」
「何勝手に…」
「じゃ、おれ先帰るね。デート楽しんできてよ!」
「あ?おいっ!ちょ…」
竜崎はヒラヒラ手を振りながら、俺の話を無視して帰ってしまった。

人の意見無視して勝手に決めんなよ。ぜってぇ案内しねぇぞ、俺は。
…そんな事より今はあの女が先か。

俺は窓から見える校門に目をやった。他校の制服を着た女子高生が立っている。
腹くくるしかねぇ!

俺はまだ言い訳が決まってないまま教室を出た。

いざ出陣!

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