《MUMEI》

バナナを食べ終えた俺は、
豪田に掴み掛かった。


「バナナを舐めんなよ!」


「はい?」


豪田と周りにいるチームメイトは目をパチクリと見開いている。


「バナナはなあ!

すっげぇ力出るんだからな!」


「いや、蓮翔…。

話しずれてるから。」


豪田が苦笑しながら落ち着け、
と俺の肩に手を掛けると、


「明日、滝澤颯馬の試合があるだろ?」


目を輝かせてそう言った。


あ、そうだった。


明日は颯ちゃんの試合だったっけ。


「もちろん、行っていいんだよな?」


「え?」


俺はしばらく考え込んだ。


行っていいんだろうか……。


確かに颯ちゃんは行っても良いと、
承諾したけど……。


今の颯ちゃんは却下するんだろうなぁ。


「滝澤颯馬は良いって言ったから、
大丈夫だろ。」


「そうかな……。」


「大丈夫だって!

明日、時間帯だけ教えてくれりゃ良いからよ!」


頼む!と、チームメイトの山村が顔の前で手を合わせた。


良いのかな……。

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