《MUMEI》

高総体が終わったとはいえ、


まだ日が沈むのは遅い。


美紀と一緒に、


バスを待った。


「…ねぇ小太郎?」


「ん?」


「こんなこと聞いていいのかわかんないけどさ…?」


「何?
い〜よ。」


「…怒んないでね?」


「うん。
い〜よ。」


「あのさ…


小太郎の家って、


ちょっと…


何て言うか…


複雑でしょ?」


「まぁ、
そうかもね。」


「小太郎は…
何であんなに普通でいられるの?」


「家族だから。


家族なんだから、


普通でいるのが普通じゃない?」


「…家族?」


「…あのさ、


家族かどうかって、


血がどうとか…


そんなんじゃないと思うんだよね。


実際夫婦って血繋がってないし。」


「うん。」


「家族かどうかってさ?








意識の問題じゃん。」


「…そうだね。」


バスが来る。


「ごめんね。
変なこと聞いて。」


「い〜よ。
気を付けてね。」


「うん…。」

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