《MUMEI》

「クロ、
何してんだ?」


「え?」


「次俺たちだろ。」


「あっ…、
うん。」


2対2。


僕とヤマ、


2人で攻める。


たぶん僕は、


集中してなかったんだと思う。


「クロ!!」


「え…?」


ヤマへのパスを、


1年生にカットされた。


「どうしたクロ?
今自分で行けただろ?」


「…ごめん。」


「ナイスディフェンス!!
それでいい!!」








翔太は、


ホントにそう思ったんだと思う。


ただ僕は、


その言葉が凄く淋しくて…


僕はただの練習台なのかな…


って。


さっき、


大会のことを聞いた時、


妙な気分になったのは、


僕はそれに参加できないのが淋しかったんだと思う。


2年間練習した体育館に、


2週間行かなかった僕。


そこに…


僕の居場所はなかった。


ああそっか…


僕は…


ハンドボールと、


そしてあの場所が好きだったんだ。


でもその場合は、


もうない…


初めて知る。


高校生活の尊さ…


ちょっと…


気付くのが遅かったな…


何でもっと大切にしなかったんだろ…


後悔と悲しみが、


一緒に込み上げてくる。


もう…


ハンドボールを続ける意味って、









ないのかな…

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