《MUMEI》

次に目を覚ましたのは、どこかの部屋の中だった。
ユウゴは何度か瞬きをしてゆっくりと体を起こし、部屋を見回す。
広さは六畳ほどだろうか。
部屋に置かれているのは、ユウゴが寝かされていたベッドと一脚の椅子だけだ。
窓には遮光カーテンが掛かっており、外の様子はわからない。
ユウゴはベッドから下りて窓へと近づいた。
カーテンを少しだけ上げると、眩しい光が差し込んできた。
「朝……?」
呟きながら外を見る。
その景色から、ユウゴがいるのはどこかのマンションの一室であるのだろうと予想がついた。
下の道路では車が行き交い、子供たちが何か楽しそうに話しながら歩いている。
その平和そうな光景にユウゴは思わずため息をつくと、ベッドへ戻って腰掛けた。
そして今の状況を頭の中で確認する。
捕まったのは確かだ。
しかし、相手は追撃隊ではない。
ぼんやりとしか覚えていないが、彼らは追撃隊を倒したというような会話をしていた気がする。
一体何者なのだろう。
考えながらユウゴは服の上から銃をはせていた所を押さえた。
しかし、そこには何もない。
「ああ、そうか」
あの時、撃ったと同時に倒れたのだ。
ならば、ユウゴの銃はあの二人の男が持っているか、あの場所に捨てられたかのどちらかだろう。
ユウゴはもう一度ため息をついた。

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