《MUMEI》

えーと……。


確かここだよな?


颯ちゃんが良く出場していた競技場。


練習後、俺は自転車をかっ飛ばして来ていた。


何しろ随分と久し振りだったものだから、
うろ覚えのまま来てしまった。


途中少しだけ道に迷ってしまったけど、
アイツら大丈夫かな?


チームメイトを思い浮かべて、
少し不安になった。


まあ、いっか。


成るように成るさ。


ふと競技場の入口を見やると、
丁度何人か出てくる所だった。


ナイスタイミングじゃん!!


俺は軽く指を鳴らすと、
その人達に駆け寄って行った。






「あの〜すみません。」


「え?

僕達ですか?」


「ああ。

明日、ここで試合あるんだよな?」


「え?

はい…そうですけど……。」


そして彼等はまじまじと俺の顔を見つめた。


「もしかして……。

桐海蓮翔さんですか?」


「……?

ああ。そうだけど?」


「うわぁ!!

僕、前からずっとファンだったんです!!」


「俺もです!!

握手して下さい!!」


………。

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