《MUMEI》

昼休み‥

アタシはグラウンドにいた。

来ないって分かってるアイツを待ちながら。

「──────‥」

来る訳ねーよな‥。

「覇気が無いな」

「──ぇ」

声がした方を向いて

目を見張った。

「メガネっ‥」

「綾瀬だ。何回言わせる」

「いーだろ。細かい事いちいち気にすんな」

「呼び方が気に食わないと言っているんだ」

「アタシの勝手だろ」

「相変わらず、口は立つみたいだね」

「ぁぁ、誰かさんのお陰でな」

アタシは言いながら

スタートラインに立つ。

「こっから向こうまで走って、先にゴールした方が勝ち。いいな」

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