《MUMEI》

「それじゃあ、いくよ? 位置に着いて、よーい‥」

『スタート』の掛け声と同時に

勢いよく地面を蹴った。

メガネは

余裕の表情。

でも

目は真剣だった。

それを見たら

負けたくない──

その気持ちが

いつもより強くなって‥

必死に遅れないように走った。

でもメガネは

思いの他速くて‥

アタシは追いかけるのが精一杯だった。

2度目のストップウォッチの鳴る音がして

アタシは地面にへたり込んだ。

「───っ‥──」

「僕の勝ちだ」

「っ‥」

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