《MUMEI》

話が中々進まなかったが、
なんとか明日の試合のことを聞けた。


彼等が言うには、
確かに明日、試合が行われるのだが、
颯ちゃんの出る種目は明後日らしい。


「颯馬先輩、凄いんですよ〜!!」


「ダントツでいつも一位取っちゃうんです!」


いや、
それは俺も知ってるから……。


明日の試合開始時間は9時。


もちろん明後日も。


アイツら明日楽しみにしてたからな〜。


明後日だと知ったら落ち込むだろうな。


豪田や山村の落ち込んだ様子を思い浮かべて、
思わず笑ってしまった。


家につくと、
リビングに明かりがついていた。


アレ?


母さんはずっと入院中の父さんに付きっきりで、
俺一人の筈なのに。


もしかして……泥棒か?


俺はバットを取り出すと、
低い体勢でリビングへ向かって行った。


そうして勢いよく扉を開けると、
大声で叫んだ。


「誰だ!!!!」

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