《MUMEI》

ギュルルルルル……


突然誰かの腹の音が聞こえた。


え?


途端に目の前の彼の顔が真っ赤に染まる。


「い、今のは違うで!


アレや!


空耳や!!」


必死で弁解しようとしているのは伝わってくるが、


悲しいかな。


彼が自分の腹に手を当てているもんだから、


空耳ではないことが分かる。


「お、お腹空いているんですか?」


「う、うるさい!」


耳まで真っ赤に成りながら、


それでも空耳だと言い通す彼に今は自然と話せていた。


「ちょっと待って下さい。」

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