《MUMEI》

兼松は裏返しに揃えた札を座布団の中央に置き、四つの山に分けた。



清楚な詰袖から〆華の白い腕が伸び、兼松が分けた札を順不同に一つに積み直してゆく。



ここに無限に展開する勝負の綾が、〆華の手によって48枚の花札に擦り込まれた。



親決めの札捲りは省かれた。



新しい勝負を開始する際は、前勝負の最後の勝者が親を引き継ぐ申し合わせだったからだ。



『ほれ…早く取れ!』



兼松は苛立ちを隠そうとはしなかった。



〆華は落ち着き払った様子でチラりと醜男を見やり、山札から4枚の手札を取った。



次に兼松は4枚を山札から取って場に晒す。



その後に兼松が4枚の手札を取る。



これを2度くり返した…。

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