《MUMEI》
一杯800円……
「二郎さん、忙しいのにお時間割いて貰って申し訳ございません……。さ、車に乗ってください。」

瞳子さんの押しの強さに負けて一度会うことになった……。
が、待ち合わせ場所に外車を使用し超目立つ。
ドライバーさんがドアを開けてくれるし、そんなこと自分でするのに。


「あのー、何処へ?」

明らかに場違いで恥かくようだったらダッシュで帰るしかない。


「ちょっとお茶するくらいですよ。」

最近オープンした海外から高級茶葉を取り寄せたりしているカフェ……。
瞳子さん、ちょっとじゃ入れないですよ、ここ!


「あ、あの……」

やっぱり帰るしか……


「瞳子様いらっしゃいませ。お二人で宜しいですか?」

ヒーエーなんかお出迎えされた。このまま逃げたら瞳子さんの顔に泥を塗ることになってしまう……!
しかも、1番立派な個室の席に誘導された……。


「お好きな物を頼んでください、今日は私が御馳走しますから。」

メニューを薦められるもよく分からない。日本茶ばかり飲んでいるからな……
一杯、800円って……そうまでして飲みたいか?


「えー、じゃあ同じものを」

困ったときの魔法の言葉です。
というか、メニューが魔法に見えた。

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