《MUMEI》

唖然と立ち尽くしていると、
シーフォードの高らかな笑い声が聞こえた。


「相変わらずそそっかしい奴等よ。」


「あの……彼等は?」


「ん?

ああ、初めまして見る種族だったな。」


「はい。」


「奴等は海に住まう種族だ。

人間からは魚人や人魚、

そう呼ばれておるな。」


「はあ……。

何故あんなに急いで?」


「ああ……。

王家の者は奴等二人しかいないからだよ。」


「え?

あの二人だけ?

王様や王妃様はいないのですか?」


すると、途端にシーフォードの顔が曇った。


「まさか……。」


「そのまさかだよ。

彼等の父親……母親は暗殺された。」


「そ……んな……。」


誰が、どうして?


頭を打たれたみたいだった。


「そして私がここにいる今、
海は奴等二人でしか守る術はない。」


そうか……。


だからあまり海を離れる訳にはいかないんだ……。

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