《MUMEI》

《で? 何の用だ? 百番目》


「その呼び方やめろ」


俺は桜花を睨んだ


チクショー


櫻の親父でなかったら、ぶん殴るのに…


《話があるのでは無いか?》


俺の発言スルーかよ


けど、話があるのは本当だから、俺は頷いた


《ここで話して良いのか?》


桜花は櫻を見た


「仕方ないだろ」


本当は嫌だけど、櫻はこの桜


千年桜からは離れられない

《…ふむ》


何だよ


《裏に回って小声で話せば問題無い。

櫻は動くな》


『動くな』


桜花の言葉に櫻は固まった

「おい…」

《早く来い、百番目》


スッ


櫻を心配する俺に、桜花はそれだけ言って、姿を消した


仕方ねーな


「行ってくる」


俺は、櫻にそう告げて、異様に太い千年桜の幹に沿って歩き


丁度、櫻と背中合わせになるような位置で


足を、止めた

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